|
「金母さまがおおせられますには」
蕎春花は語る。 すなわち、仙界にかくれもなき西王母の住まう瑤池には、ひともとの巨大な柱がある。 それは、天におおいなる枝をはる、大樹に似たものなのだが、その枝の間から、このほど天が欠け落ちる凶兆が相次いだ。 仙界においては周知のことだが、太古、天は女媧の手で修復された事があった。 その時に用いられたのが万顆(ばんか)の石なのだが、そのうちのいくばくかが、はずれ落ちたものらしい。もちろん、そのままにしておけるわけはなく、一刻もはやく、探してもとに戻さなくてはならぬ。 しかし、虎は、不満げに、その体を震わせた。 なにゆえ俺が、と言うのだろう。 「ですが、伯虎さま。金母さまのお立場も、お考えくださいませ。このようなこと、紫薇宮に知られてなりましょうか?」 西王母の統べる瑤池と、太上老君が権勢を誇る天上の紫薇宮には、いささか微妙な、力関係というものがあるらしい。天の修復など、紫薇宮側にまかせてしまえば良いというものでも、ないのだろう。 「ですから、ここは、黄家のお力にすがりたいのでございますよ」 一瞬、春花は、挑発するような笑みを口辺に浮かべた。 「天界のものは、地に落ちれば妖変するが習いではございませんか。これを退治してもとの石に戻しますには、武にも術にも通じた方でなくては」 虎は、獣にできる限りの「むすっ」とした表情を浮かべると、先をうながした。 「それぞれの石が落ちた先は、物見の達者がご案内いたしますゆえ、何とぞ、金母さまをお助けくださいますよう」 蕎春花がうやうやしく一侑するや、そのからだを包んでいた光がみるみるうちに強さを増し、青黒い空間に白い窓を押し広げていく。 虎はその場で体をたわめるや、 ごうっ と大きく吼え、矢のように跳躍して光の窓に飛び込んでいった。
銀河が砕けてこぼれ散るかのように、粉雪が暗い空を舞い落ちてくる。
ときおり、風が吹きすぎると、粉雪も流されて、さながら冷たい彗星の尾のように夜空にたなびく。 だが、ふいに、圧倒的な質感が風よりも大量に空気を押しのけ、粉雪に渦をまかせた。 それは、次第に雪の塊となり、あるものの形をとりはじめた。 巨大な、四つ足の獣。 それが、まるで生きているかのごとく、悠然と歩を進める。 そのうちに、雪がほろほろとはがれ落ち、分厚い毛皮に包まれた正体があらわとなった。 「ぐぉぉ……」 野太いうなり声とともに前足が雪を振り落とし、長くしなやかな尾が風を打つ。 それは、一頭の虎であった。 とはいえ、人が動物園で見るような虎とは違う。 さながら山のように、周囲を圧する巨体は、全身が暴発寸前のエネルギーの塊だ。 しかし、断崖の上にやんわりと伏せた虎の姿は、不思議と静かであった。 すると、積もった雪を割って、濃い緑の葉が姿をあらわし、それがみるみるうちに小さな木に育ったかと思うと、ちらちらと銀青色の光を放ち始めた。 その光が巴旦杏の形に膨れていくにつれ、木は蕾をつけ、白い椿の花を開かせた。 だが、それだけではない。黄色い花心が米粒ほどの娘の姿に、むくむくと変化していくではないか。 巨虎の琥珀色の眸が見つめる前で、米粒ほどの人は、みるみる、十三歳ほどの少女となる。 髪に椿の花を飾った少女は、目の前の虎におびえる風もなく、すっと腰をかがめた。 「黄伯虎さま。ようこそいらせられました。私は瑤池よりの使い、蕎春花と申します」
白澤(ハクタク)という幻獣をご存じですか。
これは、中国のものなのですが、いわゆる神話伝説に登場するものとはちょっと違い、「いろいろとアヤシゲなものを解説する都合上」設定されたキャラというにおいが濃厚なのです。 この話題を友人のブログ上でしている時に、 「これをネタに小説を書かないか」 という話が持ち上がったのでした。 そういう事情から発生したものなので、この小説に登場するキャラは、全てではありませんが、ブロガー仲間がモデルになっています(ただし、事前にキャラにすることをおことわりしています)。 ただし、主人公に関しては、どのようにヒドイ状況におとしいれても困らないように、いちおう、モデルなしという事にしておきます。 自分が登場していることが確実な人、 登場しているのでは? と思う人、 登場したいな~と思う人、 読むだけでいいな~と思う人、 みなさん、どんなコメントでもかまいませんから、どんどんコメント入れて下さい。 作者がたいへん喜びます( ‥)/ ただし、 ☆ 今までお知り合いでない方が小説の内容、コメントの流れとは全く無関係な内容でコメントすることはお断りします。 (もちろん、小説と関連したり、コメントの流れに関連する話題での参加は、まったく未知の人でも歓迎いたします) ☆ 小説の内容や、登場人物、そのモデル、コメントしている人に対する誹謗中傷は一切お断りし、発見次第削除などの処置をとります。 ☆ 宣伝目的のコメント・TBは堅くお断りします。発見次第問答無用で削除いたします。 なお、最近増大しているスパムTBを排除するため、エキサイトブログの機能である、 「(エキサイト外のブログからの)記事本文中に本ブログへのリンクがないTBは拒否」 を使用しています。 あしからず、ご了承をお願いいたします。 さいごに。 この小説は、「とら」が書いています。(スタート予定2006年1月1日) ネット上の不特定多数に公開していますが、著作権の放棄はいたしておりません。 盗作、盗用、無断借用、ものまねはご遠慮くださいますよう、お願いいたします。 連絡先はエキサイトメール「tora2m」です。
|
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
おすすめキーワード(PR)
ファン
|